みわよしこのなんでもブログ : 社保審

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ライター・みわよしこのブログ。猫話、料理の話、車椅子での日常悲喜こもごも、時には真面目な記事も。アフィリエイトの実験場として割り切り、テーマは限定しません。


社保審

「生活保護の住宅扶助基準引き下げの動きに関する記者会見」メモ(2014.7.9@厚労記者会)

●小久保哲郎さん(弁護士)
社保審・生保基準部会、住宅扶助について議論。
218団体が反対署名。

●稲葉剛さん(自立生活サポートセンターもやい理事、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人)
(共同声明の内容について説明)

生活扶助引き下げに続き、急ピッチで住宅扶助の議論が進む。
居住実態の調査がこれから行われる。
作業部会が細部をつめたうえで調査。11月に取りまとめ。
おそらく来年度から住宅扶助引き下げになると思う。
そこで反対声明。

問題点

・(生活扶助と同様に)厚労省が引き下げ有りきということで議論を誘導している可能性。資料、財務省審議会のものがまるっと使われていたりとか。比較、対象がミスリーディング。部会委員からも指摘。明らかに引き下げ有りきの方向で議論を誘導しているんじゃないか。確かに大都市部では上限額に家賃が擦り寄る傾向あるけれども、上限以下のところに住んでいる人もたくさんいる。

・盛り込まれた「主な論点」。最低居住面積水準に関する考え方がいくつか出ている。しかし「最低居住面積水準でよいか?」「生活保護でない人で、それ以下の住居に住んでいる人もいる」とまとめられていたり。明らかに、一般低所得者の現状を引き合いに「引き下げていいんだ」という話に持ち込もうとしている。最低居住面積水準、国交省が定め、2006年以後の基準とした。単身で25平米。閣議決定された??においても「それ以下の居住の問題は解決されるように」と。国の指標。厚労省が有名無実化してもいいという方向に議論を誘導しているのは、ゆゆしき事態。住宅扶助は、公営住宅の家賃や住宅補修費の基準にもなっている。引き下げられると国民生活に影響が及ぶのではないか。

・部会委員の一部によって作業部会が設置される。委員長が指名。議論は非公開になっている。検証ができない。結果が出てきた時には流れが決まっているということになるのではないか。これも問題。作業部会が、生活保護世帯の居住実態を調査。実際には、福祉事務所のCWが家庭訪問して調査する。家賃、居住環境をその地域の一般低所得者世帯と比較。部会では「CWがそれやる力あるのか」という声も。そういう調査するという内容。一般低所得世帯と比べると、生活保護世帯の方が、同じ居住環境であっても割高な住宅に住んでいるという結果が出ると予測。

・生保世帯が暮らしている民間賃貸住宅、割高。その地域の住宅扶助の上限額に近くなるという指摘、多い。自分も「もやい」の活動で、その実態は知っている。高齢者、障害者、一人親世帯、外国籍の方多い。入居差別多い。4万円や4万5千円の物件、「53700円なら貸しますよ」ということに。交渉力ない。飲まざるを得ない。入居差別によって割高になっているという現実がある。数字だけみると「一般低所得世帯より高い」ということになりがち。でも背景にはそういうことがある。

・住宅扶助、現状でも充分ではない。地域によっては、これでも適切な住居は確保できない。脱法ハウス問題にも取り組んできた。脱法ハウスの多い千代田区など、53700円でもアパートない。そこで福祉事務所の人に「マンボー」の違法貸しルームを紹介された事例も。今年度から、国交省? はそういうことしないように指導。

・室内でも車椅子の障害者、車椅子で使える居室を探すのは困難を極める。69800円出しても見つからない。生活扶助から家賃分を出さざるを得ない。場合によっては食費など生活費を削って実質的な家賃に宛てている。必ずしも充分ではない。基準額の一覧表。不思議なこと。2-6人世帯の基準がまったく同じ。子どもの多い世帯が東京都ではワンルームに住まざるをえない。現状でも住宅扶助基準は高いとはいえない。根本、日本の住宅政策の失敗。公営住宅、どこの地域でも「増やさない」政策。低所得層、公営住宅に入れないから民間に入らざるを得ないが、入居差別が野放し。貧困ビジネス、保証人問題にも規制が進んでない。メスを入れずに住宅扶助基準の金額だけを切り下げると、ますます生活保護世帯の方が劣悪な住居に追いやられる。これは「健康で文化的な最低限度の生活」の理念に反しているといわざるを得ない。

・11月までに取りまとめるスケジュール、拙速。撤回すべき。支援NPO、住宅政策にくわしい研究者などの意見を入れて取りまとめるべき。

脱法ハウス、ネットカフェ難民、住宅政策がそのたびに社会に出る。
本来なら、厚労省と国交省が縦割りではなく協力して、「健康で文化的な最低限度の生活」の住居基準を定め、住居扶助基準を定めるべき。
報道の皆様、生活扶助はすでに引き下げられている。住宅扶助まで引き下げられると、憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活」が壊滅する。
警鐘を鳴らす記事を書いてほしい。

●田川英信さん(元生活保護ケースワーカー)
(級地制度、基準額、1.3倍特別基準、7人世帯基準、「特別基準」の意味など説明)
住宅扶助で出せるのは家賃本体のみ。共益費・管理費はダメ。見つけたアパートが家賃55000円だったら、そこへの転居は認められない。だから家賃本体を住宅扶助内にしてもらうという交渉をすることも。
現場の実感。他地域のCWに「どう?」と聞くと、「今でも物件見つからないのに、下がったらどうするんだろう?」「下がったら転居してもらわなくちゃいけないんだろうか」という話。
もともと住宅扶助は高くない。実額が出る。4万円の物件なら4万円しか出ない。でも今、東京で5万円以下の物件あまりない。建て替えでなくなる。銭湯もなくなる。風呂なし物件もなくなる。風呂つき4万円台はほとんどない。
もともと物件見つからない。よくある話、精神疾患で長く入院していた人が地域生活をはじめるとき、物件見つからない。精神疾患を悪化させないためには、周辺の生活音が聴こえるようなところはよくない。
2-6人は同じという基準。よくある事例。家族4人で東京23区、1.3倍基準でも見つからない。そこで多摩市や八王子市に転居してもらう。「移管」。福祉事務所間でもめることも。

●桑島知己さん(不動産仲介業者)
不動産業者の立場から。
上げるべきところも下げるべきところもあると思う。
東京中心部に住まざるを得ない人もいる。そこでは上げるべき。
さきほど稲葉さんからの話もあったように「健康で文化的な最低限度の生活」が定義されていない。
現在、つくば市在住。4万円以下の物件たくさんある。こういうところでは32000円くらいでいいのかなと思う。
地域の家賃相場をしっかりと。CWには難しいと思う。不動産業者が提言をして、地域ごとの適性家賃を見直すべきでは。

●川西浩之さん(身体障がいをもつ生活保護利用当事者)
身体障害者の立場から。
世田谷区に住んでいる。1日11時間、ヘルパーさんの援助を受けながら生活している。ヘルパーさんには食事を作ってもらったり、着替えを手伝ってもらったり。室内でも手動の車椅子を使用している。かれこれ世田谷区で14年目。
一人暮らし始めるときに不動産屋を回った。「車椅子を使用して過ごせる住宅はない」「トイレや風呂場に手すりをつけると壁に傷がつくので、修繕と修復がトラブルになるので貸したくない」という不動産屋がほとんど。10軒くらい、ヘルパー・支援者と探したが、まったく見つからなかった。公営住宅も少ない。
引き下げに困っている。なぜ車椅子で暮らさなくてはならないかということの意味が分かってないと思う。私は脳性麻痺。腹の力が弱い。車椅子で身体を支えていないと身体を起こしてられない。だから車椅子で過ごせない居室があることが考えられない。
障害の状況をちゃんと理解してもらったうえで、生活保護を見てほしい。
8万円を超える住宅に住んでいる。ワンルームだと食事と作業の部屋が一緒。「車椅子で中に入ったら身動きがとれない」というワンルームに住んでいる障害者の仲間もいる。寝たきりで、ベッド周りでもリフトが必要な仲間、家賃基準が下げられると引っ越さなくてはならない。どこに行っても後ろめたく苦労する姿が目に浮かぶ。
不動産屋、僕らが話をしても聞いてもらえない。ヘルパーさんに「こういううちに住みたい」と話を聞いてもらった。やっと住宅が見つかった。
不動産屋にも話した。「僕たちは10軒20軒回っても住まいが見つかりません」「手すりの位置、自分でないと適切な場所が分からない」。
もっと実態に即して、生の声を聞いてほしい。

(小久保さんとのやりとり)
差額1万円程度は生活扶助から支払っている。手すりをつけることを嫌がる大家が多いことに困っている。

●安形義弘さん(全国生活と健康を守る会連合会会長)
支援者の立場から。
生活保護の人たち、ゼイタクは望んでない。安心して暮らしたい。それが踏みにじられている。
住宅扶助の問題、2点。基準が低いこと。病気・介護などの問題で基準内の住宅に引っ越したいと思っても転宅が認められない。
青森市の状況(資料)、石狩市の状況。
石狩市、札幌市に隣接しているが3級地。家賃相場、札幌市と同程度。実態を見て欲しい。
転居。除雪できない身体になった人が、それ以前と同じ25000円の家賃のところに住んでいる。除雪不要な住宅だと基準を超えるので転居できない。劣悪な住居。建て替えのため退去を求められるが、福祉事務所と家主が責任を押し付け合い、転居ができない。
別の地域。家主のセクハラ問題があっても転居できない。
大げさなことを言ってない。日々の相談で、こういうことがたくさんある。
そういう実態を見てほしい。

みんな低い家賃のところに住んでいる。生保を利用する前に、困窮していたので、どんなに劣悪でもそういうところに住まざるを得ない。生保を利用し始めても転居が認められない。
資料17-20ページ。共同台所、共同トイレ。

生活保護利用者の生活全体の中で、住居費がどういうふうに出ているのか。老齢加算訴訟の長谷川しずえさんの事例。資料11ページから。現在は養護施設。生活保護ではクーラー代が出ず、熱中症で倒れた。害虫も。それまでの住居に住んでいたかったけど養護施設に。
害虫駆除、住宅補修費で本来ならば出る。

生活扶助基準の引き下げ、審査請求運動、やってきた。1万件超えた。その一人、北海道・小樽市の方が語った実態。あとで資料みてほしい。

どうしても言いたいこと。今でも、ひどい住居でガマンしている生保利用者いる。そういう人がいることをてこにして、生保利用者を劣悪な住居に押し込める。それをてこにして、国民の住居を劣悪にする。そういうことでは。
実態に耳を傾けて報道して欲しい。

●尾藤廣喜さん(弁護士)
まとめ。
日本の住宅政策。「どこに住むか」の自由を含めて確立していない。弱い。
ヨーロッパでは中世からの歴史で確立。
劣悪な居住になっている現状を生活保護と比較して下げようとしている。
最低、最低居住面積水準は保障されなくてはならない。
生活扶助引き下げと同様の手法。第一十分位と生活保護基準の比較。
どういう住居が「最低」かの議論がされていない。
今の基準部会の方向は間違っている。一部委員から指摘されているとおり。

●質疑
・朝日新聞の方
障害者の方の手すり。1.3倍の中で手すりなどもしなくてはならないということ?

・川西さん
障害を持った者が(生保で)一人暮らしを開始するとき、大家さんの住宅改装の承諾書が必要。手すりなどは、障害者福祉法の住宅改装費から費用が出る。

・稲葉さん
「改装してもいいよ」という大家さんがいない。

・田川さん
スロープ、スノコを置くだけではなくコンクリートを打つとなると、承諾書が必要。

・尾藤さん
一般的な住宅としての一般性がなくなるから、障害対応改装を家主が嫌がる。どうしても入れる住宅が限られる。家主さんの理解が必要。

・桑島さん
障害者に対してはハードル高い。高齢者に対しては少しは理解が進んできたけれど。

・田川さん
トイレでUターンができなかったり。

・安形さん
高齢者世帯が生保には多い。同じような状況。生活保護を利用している人の構成比のなかで見ないと、基準は正しく設定できないと思う。

・田川さん
55000円の物件を53000円に変えてもらって共益費で上積みしてもらった事例など、表に出てこない。

・尾藤さん
役所的にはあってはならないことなので、役所としては見て見ぬふり。それがどういう実態になっているのか。その気持はないのだろう。しだすと大変。それが実態と住宅扶助基準の乖離の問題が解決されない一つの原因にもなる。

・桑島さん
この問題を解決しないと、風呂もトイレもない物件に住まざるをえない地域も実際にある。

・田川さん
あっても古い物件が多い。しばらくすると「建て替えなので出て行って欲しい」とか。そのときに郊外に越すことが多い。移管でトラブル。川崎市ともめたことも。基準は同じだが、物件がある。

・稲葉さん
耐震の問題が気にされるようになった。消費税が上がり、低所得の方の受け皿になっていた木造住宅が次々に取り壊されている。低家賃の価格帯の住宅というのが、かなり足りなくなっているという事情がある。建て替えになると、もともと3万円で貸していた賃貸がワンルームに建て替えられて6万7万。そもそも生保世帯の方々が入れる住宅は少なくなっている。

・小久保さん
資料の説明。改正生活保護法について。改悪部分には一応は歯止めがかかっているので周知してほしい。

2014.7.9 生活保護の住宅扶助基準引き下げの動きに関する記者会見@厚労記者会 メモ

●小久保哲郎さん(弁護士)
社保審・生保基準部会、住宅扶助について議論。
218団体が反対署名。

●稲葉剛さん(自立生活サポートセンターもやい理事、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人)
(共同声明の内容について説明)

生活扶助引き下げに続き、急ピッチで住宅扶助の議論が進む。
居住実態の調査がこれから行われる。
作業部会が細部をつめたうえで調査。11月に取りまとめ。
おそらく来年度から住宅扶助引き下げになると思う。
そこで反対声明。

問題点
    • (生活扶助と同様に)厚労省が引き下げ有りきということで議論を誘導している可能性。資料、財務省審議会のものがまるっと使われていたりとか。比較、対象がミスリーディング。部会委員からも指摘。明らかに引き下げ有りきの方向で議論を誘導しているんじゃないか。確かに大都市部では上限額に家賃が擦り寄る傾向あるけれども、上限以下のところに住んでいる人もたくさんいる。
    • 盛り込まれた「主な論点」。最低居住面積水準に関する考え方がいくつか出ている。しかし「最低居住面積水準でよいか?」「生活保護でない人で、それ以下の住居に住んでいる人もいる」とまとめられていたり。明らかに、一般低所得者の現状を引き合いに「引き下げていいんだ」という話に持ち込もうとしている。最低居住面積水準、国交省が定め、2006年以後の基準とした。単身で25平米。閣議決定された??においても「それ以下の居住の問題は解決されるように」と。国の指標。厚労省が有名無実化してもいいという方向に議論を誘導しているのは、ゆゆしき事態。住宅扶助は、公営住宅の家賃や住宅補修費の基準にもなっている。引き下げられると国民生活に影響が及ぶのではないか。
    • 部会委員の一部によって作業部会が設置される。委員長が指名。議論は非公開になっている。検証ができない。結果が出てきた時には流れが決まっているということになるのではないか。これも問題。作業部会が、生活保護世帯の居住実態を調査。実際には、福祉事務所のCWが家庭訪問して調査する。家賃、居住環境をその地域の一般低所得者世帯と比較。部会では「CWがそれやる力あるのか」という声も。そういう調査するという内容。一般低所得世帯と比べると、生活保護世帯の方が、同じ居住環境であっても割高な住宅に住んでいるという結果が出ると予測。
    • 生保世帯が暮らしている民間賃貸住宅、割高。その地域の住宅扶助の上限額に近くなるという指摘、多い。自分も「もやい」の活動で、その実態は知っている。高齢者、障害者、一人親世帯、外国籍の方多い。入居差別多い。4万円や4万5千円の物件、「53700円なら貸しますよ」ということに。交渉力ない。飲まざるを得ない。入居差別によって割高になっているという現実がある。数字だけみると「一般低所得世帯より高い」ということになりがち。でも背景にはそういうことがある。
    • 住宅扶助、現状でも充分ではない。地域によっては、これでも適切な住居は確保できない。脱法ハウス問題にも取り組んできた。脱法ハウスの多い千代田区など、53700円でもアパートない。そこで福祉事務所の人に「マンボー」の違法貸しルームを紹介された事例も。今年度から、国交省? はそういうことしないように指導。
    • 室内でも車椅子の障害者、車椅子で使える居室を探すのは困難を極める。69800円出しても見つからない。生活扶助から家賃分を出さざるを得ない。場合によっては食費など生活費を削って実質的な家賃に宛てている。必ずしも充分ではない。
    • 基準額の一覧表。不思議なこと。2-6人世帯の基準がまったく同じ。子どもの多い世帯が東京都ではワンルームに住まざるをえない。現状でも住宅扶助基準は高いとはいえない。根本、日本の住宅政策の失敗。公営住宅、どこの地域でも「増やさない」政策。低所得層、公営住宅に入れないから民間に入らざるを得ないが、入居差別が野放し。貧困ビジネス、保証人問題にも規制が進んでない。メスを入れずに住宅扶助基準の金額だけを切り下げると、ますます生活保護世帯の方が劣悪な住居に追いやられる。これは「健康で文化的な最低限度の生活」の理念に反しているといわざるを得ない。
    • 11月までに取りまとめるスケジュール、拙速。撤回すべき。支援NPO、住宅政策にくわしい研究者などの意見を入れて取りまとめるべき。

脱法ハウス、ネットカフェ難民、住宅政策がそのたびに社会に出る。
本来なら、厚労省と国交省が縦割りではなく協力して、「健康で文化的な最低限度の生活」の住居基準を定め、住居扶助基準を定めるべき。
報道の皆様、生活扶助はすでに引き下げられている。住宅扶助まで引き下げられると、憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活」が壊滅する。
警鐘を鳴らす記事を書いてほしい。

●田川英信さん(元生活保護ケースワーカー)
(級地制度、基準額、1.3倍特別基準、7人世帯基準、「特別基準」の意味など説明)
住宅扶助で出せるのは家賃本体のみ。共益費・管理費はダメ。見つけたアパートが家賃55000円だったら、そこへの転居は認められない。だから家賃本体を住宅扶助内にしてもらうという交渉をすることも。
現場の実感。他地域のCWに「どう?」と聞くと、「今でも物件見つからないのに、下がったらどうするんだろう?」「下がったら転居してもらわなくちゃいけないんだろうか」という話。
もともと住宅扶助は高くない。実額が出る。4万円の物件なら4万円しか出ない。でも今、東京で5万円以下の物件あまりない。建て替えでなくなる。銭湯もなくなる。風呂なし物件もなくなる。風呂つき4万円台はほとんどない。
もともと物件見つからない。よくある話、精神疾患で長く入院していた人が地域生活をはじめるとき、物件見つからない。精神疾患を悪化させないためには、周辺の生活音が聴こえるようなところはよくない。
2-6人は同じという基準。よくある事例。家族4人で東京23区、1.3倍基準でも見つからない。そこで多摩市や八王子市に転居してもらう。「移管」。福祉事務所間でもめることも。

●桑島知己さん(不動産仲介業者)
不動産業者の立場から。
上げるべきところも下げるべきところもあると思う。
東京中心部に住まざるを得ない人もいる。そこでは上げるべき。
さきほど稲葉さんからの話もあったように「健康で文化的な最低限度の生活」が定義されていない。
現在、つくば市在住。4万円以下の物件たくさんある。こういうところでは32000円くらいでいいのかなと思う。
地域の家賃相場をしっかりと。CWには難しいと思う。不動産業者が提言をして、地域ごとの適性家賃を見直すべきでは。

●川西浩之さん(身体障がいをもつ生活保護利用当事者)
身体障害者の立場から。
世田谷区に住んでいる。1日11時間、ヘルパーさんの援助を受けながら生活している。ヘルパーさんには食事を作ってもらったり、着替えを手伝ってもらったり。室内でも手動の車椅子を使用している。かれこれ世田谷区で14年目。
一人暮らし始めるときに不動産屋を回った。「車椅子を使用して過ごせる住宅はない」「トイレや風呂場に手すりをつけると壁に傷がつくので、修繕と修復がトラブルになるので貸したくない」という不動産屋がほとんど。10軒くらい、ヘルパー・支援者と探したが、まったく見つからなかった。公営住宅も少ない。
引き下げに困っている。なぜ車椅子で暮らさなくてはならないかということの意味が分かってないと思う。私は脳性麻痺。腹の力が弱い。車椅子で身体を支えていないと身体を起こしてられない。だから車椅子で過ごせない居室があることが考えられない。
障害の状況をちゃんと理解してもらったうえで、生活保護を見てほしい。
8万円を超える住宅に住んでいる。ワンルームだと食事と作業の部屋が一緒。「車椅子で中に入ったら身動きがとれない」というワンルームに住んでいる障害者の仲間もいる。寝たきりで、ベッド周りでもリフトが必要な仲間、家賃基準が下げられると引っ越さなくてはならない。どこに行っても後ろめたく苦労する姿が目に浮かぶ。
不動産屋、僕らが話をしても聞いてもらえない。ヘルパーさんに「こういううちに住みたい」と話を聞いてもらった。やっと住宅が見つかった。
不動産屋にも話した。「僕たちは10軒20軒回っても住まいが見つかりません」「手すりの位置、自分でないと適切な場所が分からない」。
もっと実態に即して、生の声を聞いてほしい。

(小久保さんとのやりとり)
差額1万円程度は生活扶助から支払っている。手すりをつけることを嫌がる大家が多いことに困っている。

●安形義弘さん(全国生活と健康を守る会連合会会長)
支援者の立場から。
生活保護の人たち、ゼイタクは望んでない。安心して暮らしたい。それが踏みにじられている。
住宅扶助の問題、2点。基準が低いこと。病気・介護などの問題で基準内の住宅に引っ越したいと思っても転宅が認められない。
青森市の状況(資料)、石狩市の状況。
石狩市、札幌市に隣接しているが3級地。家賃相場、札幌市と同程度。実態を見て欲しい。
転居。除雪できない身体になった人が、それ以前と同じ25000円の家賃のところに住んでいる。除雪不要な住宅だと基準を超えるので転居できない。劣悪な住居。建て替えのため退去を求められるが、福祉事務所と家主が責任を押し付け合い、転居ができない。
別の地域。家主のセクハラ問題があっても転居できない。
大げさなことを言ってない。日々の相談で、こういうことがたくさんある。
そういう実態を見てほしい。

みんな低い家賃のところに住んでいる。生保を利用する前に、困窮していたので、どんなに劣悪でもそういうところに住まざるを得ない。生保を利用し始めても転居が認められない。
資料17-20ページ。共同台所、共同トイレ。

生活保護利用者の生活全体の中で、住居費がどういうふうに出ているのか。老齢加算訴訟の長谷川しずえさんの事例。資料11ページから。現在は養護施設。生活保護ではクーラー代が出ず、熱中症で倒れた。害虫も。それまでの住居に住んでいたかったけど養護施設に。
害虫駆除、住宅補修費で本来ならば出る。

生活扶助基準の引き下げ、審査請求運動、やってきた。1万件超えた。その一人、北海道・小樽市の方が語った実態。あとで資料みてほしい。

どうしても言いたいこと。今でも、ひどい住居でガマンしている生保利用者いる。そういう人がいることをてこにして、生保利用者を劣悪な住居に押し込める。それをてこにして、国民の住居を劣悪にする。そういうことでは。
実態に耳を傾けて報道して欲しい。

●尾藤廣喜さん(弁護士)
まとめ。
日本の住宅政策。「どこに住むか」の自由を含めて確立していない。弱い。
ヨーロッパでは中世からの歴史で確立。
劣悪な居住になっている現状を生活保護と比較して下げようとしている。
最低、最低居住面積水準は保障されなくてはならない。
生活扶助引き下げと同様の手法。第一十分位と生活保護基準の比較。
どういう住居が「最低」かの議論がされていない。
今の基準部会の方向は間違っている。一部委員から指摘されているとおり。

●質疑
・朝日新聞の方
障害者の方の手すり。1.3倍の中で手すりなどもしなくてはならないということ?

・川西さん
障害を持った者が(生保で)一人暮らしを開始するとき、大家さんの住宅改装の承諾書が必要。手すりなどは、障害者福祉法の住宅改装費から費用が出る。

・稲葉さん
「改装してもいいよ」という大家さんがいない。

・田川さん
スロープ、スノコを置くだけではなくコンクリートを打つとなると、承諾書が必要。

・尾藤さん
一般的な住宅としての一般性がなくなるから、障害対応改装を家主が嫌がる。どうしても入れる住宅が限られる。家主さんの理解が必要。

・桑島さん
障害者に対してはハードル高い。高齢者に対しては少しは理解が進んできたけれど。

・田川さん
トイレでUターンができなかったり。

・安形さん
高齢者世帯が生保には多い。同じような状況。生活保護を利用している人の構成比のなかで見ないと、基準は正しく設定できないと思う。

・田川さん
55000円の物件を53000円に変えてもらって共益費で上積みしてもらった事例など、表に出てこない。

・尾藤さん
役所的にはあってはならないことなので、役所としては見て見ぬふり。それがどういう実態になっているのか。その気持はないのだろう。しだすと大変。それが実態と住宅扶助基準の乖離の問題が解決されない一つの原因にもなる。

・桑島さん
この問題を解決しないと、風呂もトイレもない物件に住まざるをえない地域も実際にある。

・田川さん
あっても古い物件が多い。しばらくすると「建て替えなので出て行って欲しい」とか。そのときに郊外に越すことが多い。移管でトラブル。川崎市ともめたことも。基準は同じだが、物件がある。

・稲葉さん
耐震の問題が気にされるようになった。消費税が上がり、低所得の方の受け皿になっていた木造住宅が次々に取り壊されている。低家賃の価格帯の住宅というのが、かなり足りなくなっているという事情がある。建て替えになると、もともと3万円で貸していた賃貸がワンルームに建て替えられて6万7万。そもそも生保世帯の方々が入れる住宅は少なくなっている。

・小久保さん
資料の説明。改正生活保護法について。改悪部分には一応は歯止めがかかっているので周知してほしい。


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 音声合成技術の現在と未来」
(共著 2015.4 丸善出版)


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 (執筆協力・永島孝 2013.9 技術評論社)


「生活保護リアル」
(2013.7 日本評論社)

「生活保護リアル(Kindle版)」
あります。

「ソフト・エッジ」
(中嶋震氏との共著 2013.3 丸善ライブラリー)


「組込みエンジニアのためのハードウェア入門」
(共著 2009.10 技術評論社)

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