昨年後半から、「精神科病院を居住施設に転換しよう」 という動きが出てきています。
 
日本には非常に多数の精神科長期入院患者がおり、その多くは「社会的入院」 です。退院して地域で生活を営むことは病状面からは可能なのですが、「家族が拒む」「借りられるアパートがない」、あるいは「病院が退院させたがらない」という理由で退院できない人々です。精神医療界隈には、長期入院している患者・長期入院させることの可能な患者を指す「固定資産」という用語法まであります。精神科病院にとっての「固定資産」ということです。 

日本の30万人以上の長期入院患者は、長年、国際社会で問題になっています。そこで「退院促進」「地域生活促進」といった動きが活発になってきました。長期入院患者の退院時の住まいを確保する活動など、数多くの支援活動もなされてきました。

福島第一原発の事故により、長期入院していた病院が閉鎖となり、 地域生活を始めた方もいます。長期にわたって入院していたからといって地域生活が不可能なわけではないということは、この事例からも読み取れます。
ハートネットTV: 60歳からの青春 ―精神科病院40年をへて―

多数の長期入院患者が退院すると、精神科病院には多数の空きベッドが出来ます。だったら病院の規模を縮小すればいいんです。時代とともに役割を(遅すぎる感はありますが)終えたのですから。
しかし、そこで出現したのが、その空きベッドを居住施設に転換するという動きです。引き続き病院の中に住んでいるようなものであるにもかかわらず「地域生活してます、入院してません」ということです。
また、その居住施設は、居住施設とはいいながら居住権を認めるのではなく、利用権(ホテルと同様)だけ認められるものになる可能性が高いと見られています。「住」の場として権利保障されるわけではないということです。

この動きに抗して、精神医療・精神保健福祉に関連する数多くの医師・ソーシャルワーカー・看護師・患者等が、2014年6月26日に日比谷野外音楽堂で集会を開催します。
お時間のある方、ぜひお越しください。

主催団体「病棟転換型居住系施設について考える会」ブログ(私も名を連ねています)
2014年6月26日の集会詳細