午前6時より前には起きていた……と思います。
血圧計をパッキングしちゃっていたため、朝の血圧の写真はありません。
ホテルで卵・パン・コーヒー・果物の朝食をいただき、2kmほど離れたホテルへ移動。
フロントで荷物を預かってもらって、そこから500mほど離れたところにある困窮者支援NPOに向かいました(2月12日に直接訪れてアポを取っていました)。
8:30には到着してしまいました。
まだオフィスは開いておらず、たくさんの人が並んでいます。
行列は9時のオープン直前には100人近くに達しました(あとで聞くと、この日は食糧の配給日であるため、特に行列が長かったとのこと)。
並んでいる人が私に
「どういう支援を必要しているの? ここにはたくさんの支援メニューがあるから心配することないよ、きっとだいじょうぶ」
と声をかけたりしてくださるので、
「いや、日本から来たジャーナリストです」
と軽く自己紹介し、ちょっと会話したりなどしました。
そうこうするうちに、9時になりオフィスがオープン。
パブリック・マネージャさんから概略に関する話を伺い、施設内(フロント・食糧や衣類の配布コーナー・子どものためのコーナー・大人の教育やミーティングのためのコーナー・ハウジングのためのコーナー・ホームレス状態の方々のためのコーナー、などなど) を見せていただきました。驚くことがたくさんでした。 
印象的だったのは「利用者さんたちの尊厳」「エンパワメント」が繰り返されたこと。
たとえば食糧や衣類の配布に関して
「本人が選べることが重要です。選ぶ自由は尊厳の第一歩、エンパワメントへの道です」 
といった言葉が語られるのです(たいへん大事なことだと思うので、太字・大きな文字にしておきます)。
食糧や衣類の配布コーナーは、マーケットや衣料店のようになっており、カートに自分の欲しい物を入れてカウンターに持っていきます。数量には一定の制限(衣料なら1人5点までなので、たとえば3人家族なら15点まで)があるので、カウンターはそのチェックを行います。
生鮮食糧品もあれば、冷蔵庫を持たない人々のために乾燥パスタ・缶詰類を組み合わせたパックもあります。そのパックの中を見せてもらったところ、必ず穀類(未精製のものも)・豆・野菜の組み合わせとなっており、そこで食の最低ラインが揃う形でした。あとは本人の好みや宗教に合わせて魚・肉・惣菜類の缶詰等を選び、さらに生で食べられて日持ちする果物があれば、「健康で文化的な最低限度」の食は何とか成り立つ形です。
「ここで支援を受けて、エンパワメントされ、支援を受けつつボランティアとして貢献し、さらにエンパワメントされ、職業教育を受け、安定と高い給与のある職業につき、地域や子どもの学校で貢献し……」
という循環が意図され、成果もあがっています。
ただ問題は、サンノゼの生活コスト(全米で最も高く、NYC並み)。住まいを持たない人の定住は非常に大変ということ。
「ホームレスを減らすことに若干の貢献はできているけれども、まったく不十分」
とも語られました。
そこで私は、生田武志さんの「カフカの階段」について、簡単なポンチ絵を描いて説明しました。すると
「それは分かりやすく良い例えだ!」
と喜んでくださいました。
日本の状況を紹介し、違いについて少しディスカッション。
「米国の場合、公的扶助そのものの必要性については社会的に合意が得られているため、政権がどうなろうが『最低線』までは揺らがないし、政争のポイントにもならない。ただ、その最低線のレベルが低すぎることが問題」
と言われました。
日本の生活保護制度は、もし充分な予算がつき、生活保護基準のレベルが単身者で一ヶ月あたり15万円程度まで上げられ、運用がもっと柔軟になったら、本当に世界に冠たる制度なのです。
日本の誇るべきものを一つ挙げよと言われたら、私は躊躇なく「生活保護制度」と答えます。
それをなし崩しにしようとしているのが現政権であり、政府なんですけど。

2時間近くの取材を終え、近くのウエンディーズで一服。
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チキンサンドをモグモグしながら思いました。
日本はさまざまな問題の先進国です。だったら、問題解決の先進国にもなれるはずです。
日本の政府が「問題解決のため」と称して行っていることには、どうも感心しない、実効性がなさそうなものが多いです。
だったら、民間にとっては機会です。
政府がやってくれるなら、民間に機会はありません。
政府が「うーん、ちょっと」だからこそ、数多くの絶望や困難が生まれます。
でも、「うーん、ちょっと」な政府に、せめて邪魔をさせずに「公共=みんな」を作るには?
「公共=みんな」のためになる活動を行うには?
その実例は、日本より酷い政府を持つ国々の役に立つはず。
日本で積み上げられていかざるを得ないベスト・プラクティスの数々は、必ず、世界のお役に立ちます。
なんという希望でしょうか。
逆に、せめてそんな希望だけでも持たずにはいられないほど、日本の政治的状況は煮詰まっているということなのですけれども。

とか考えていると、一人のアフリカン・アメリカンの青年が近づいてきました。
さきほどの困窮者支援NPOで、9時の開門前に並んでいた、ちょっとお話した人の一人。
「わざわざ日本からありがとう! さっき、これをもらったから、あげる」
と言って、衣料配布コーナーで配布されていたイカすバッグパックをくれたのです(衣料配布コーナーでは、靴・バッグなども配布されています)。
配布1回につき5点までの、その5点の1つ。そんな貴重なものを。
ありがとう! 一生大事にするよ!
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NPOの建物遠景を撮ったりとか、周辺の風景写真を撮ったりとかしまくっても、まだ12時過ぎ。
ホテルのチェックインは14時からです。
というわけで、近くにあるラテンアメリカ図書館(サンノゼ公共図書館の分館の一つ)に行き、閲覧コーナーで電源を確保して、写真の整理など。
周辺を見回すと、路上生活者と思われる少し臭う方もいるし、閲覧テーブルの上でカップヌードル2個で食事している男性もいるし……という感じ。子どもコーナーからは、子どもの笑ったり泣いたりする声とTVの音声が流れてきます。すぐそばにはドリンクやスナックの自販機もあります(ちょっと狭くて車椅子では入りにくかったので、カップヌードルとお湯がそこで調達できるのかどうかまでは確認してません)。
日本の図書館の「あれはいけません、これはいけません」は、どうなんだろう? と思いました。
武雄市の「TSUTAYA図書館」が良いとは全く思いませんが、多くの図書館が「日常の一部」「ふつうの社会の一部」でない日本の状況って、ちょっと問題だと思うんです。
私自身は図書館には静粛を求めたい方ですが、そんなの、静粛コーナーを作っておけば済む話。
米国の図書館は、だいたい建物がデカいので、「おしゃべりしたい」「飲食したい」というニーズにはゾーニングで対応しています。
同じことを日本の数万冊規模の図書館で行うには工夫が必要だとは思いますが、やれないわけはないかと。
日本の場合、
「公共図書館とは、いろんなニーズを持った、いろんな人が来る場所。ニーズを持つこと・来ることを拒むこと事態が問題」
という認識を社会の常識にするところから始めなくてはならず、それが不可能に近い困難事であるのかもしれませんが。
この図書館の話は、別途、記事化を予定しています。

近くにホームセンターもあったので寄ってみました。
日本との違いは、お店事態の規模や売られているもののサイズ(角材の長さや板材の大きさが、とにかく長いわデカいわ)、家の補修だけではなく「自分ちを自分で作る」といったニーズにも応じられること、有機溶剤が含まれている塗料などは鍵のかかった棚の中にあり、身分証かライセンス(?)がないと買えない仕組みになっていること、くらいでしょうか。
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ホテルにチェックイン。一泊14000円。
「これ以下」となると、「ダウンタウンからは遠い空港すぐそば」といった場所か、「売春宿になっている」「ホームレスのたまり場になっている」といった訳ありホテルしかありません。
正直、こんなにゴージャスな必要ないんですけど……。日本のビジホで充分なんですけど……。
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バスタブがあります。
私は通算で2ヶ月くらい米国・カナダに滞在していますが、初のバスタブつきの宿です!
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キング牧師記念図書館にもう一度行き、3時間ほどかけて、じっくり見学。この図書館についても、別途記事化を予定しています。
その後、スーパーで食糧品の買い出しを行いました。
2泊で確実にハケる分を、と心がけました。
左下のサラダのパックは、自分で取ってパックに詰めて重量あたりでお値段が決まるものです。
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ブロッコリー(右上)もズッキーニ(わかりにくいのですが中央下あたり)も生です。
生でボリボリかじるのも、いけますね。
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生野菜の半分はピクルスに。翌日食べる予定。
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タヒニ(中東風豆ペースト)とプレッツエルのセット、2.5ドルくらい。
タヒニは正直なところ「ウチのほうが旨いよ」でした。チーズとか混ぜてリッチなフレーバーにしてあって、それが私の趣味とちょっと違うんですよね。
でも、この「おつまみセット」的取り合わせはイカします。
平焼きプレッツエルは初めてでしたが、旨いものでありました。
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生成していない穀類を混ぜた玄米ご飯のパック。
パックの上を裂いて脱気できるようにし、立ててレンチンします。
ピラフのような味付けになっており、やめられない止まらない。
翌日に半分残しておくつもりでしたが、一気に食べちゃいました。米粒に飢えてたのかも。
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ダシ汁、前のホテルから持ってきた全粒粉トルティーヤなども並べて、豪華ディナー。
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風呂あがりの一杯。
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コーヒーメーカーがあります。
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この写真下は、コーヒー粉です。だしパックみたいに不織布のパックに入ってます。
そのままコーヒーメーカーにセットするのが、米国では一般的なのでしょうか? 
で、美味しければ文句ないんですけど……ぜんぜん美味しくないんです。
東京からコーヒー持って来といてよかった。

翌朝も8時から取材です。というわけで、午前1時には寝たかと記憶しています。