福岡市が「生活保護ホットライン」を開設するようです。
産経新聞の報道では、主目的は不正受給の告発を奨励することであるようです。福岡市のホンネはそうなんでしょうね。
産経ニュース:生活保護 不正受給は許さない! 福岡市が“たれ込み”ダイヤル開設 

でも、濫給(不正受給)だけを問題にすることはできないはずです。たとえタテマエだけであっても、漏給(貧困状態なのに生活保護を利用していないこと)も問題にせざるを得ないはずです。田村憲久厚労相も厚労省も、一応、国会答弁では「必要な人には保護を」と繰り返しています。

このニュースをよく読むと、福岡市長も、やはりそう解釈できる内容のことを言っています。言わざるを得ないからポーズとしてだけ言っているのかもしれませんが。

高島宗一郎市長は8日の記者会見で「行政だけではつかめない情報をすくい上げる。生活保護の公平性を担保し、守るべき人をしっかり守りたい」と語った。

市保護課の担当者は「生活保護は市民の信頼を得られないと成り立たない。本当に必要な人に支援を行き届かせるための第一歩にしたい」としている。

高島宗一郎市長は「生活保護をもらうのは恥ずかしいと考え、歯を食いしばって耐えている人がいる一方、不正受給者や、ギャンブルやアルコール依存で治療が必要な受給者もいる。こうしたさまざまな情報をすくい上げ、守るべき人をしっかり守りたい」と述べた。

福岡市の皆さん。
ホットラインが開設されたら、せっせと漏給情報を提供してさしあげてください。
「ご近所に低年金で大変な暮らしをしている高齢者がいる」
といったことに限る必要はありません。
「◯◯町に野宿しておられる方がいます、この方に生活保護の説明をして安定した生活につなげてください」
とか。
「生活保護なのにギャンブル!」「生活保護なのにブランドものバッグ!」といったセコい情報提供をしたって、実のところ誰の役にも立たないんですよ。そのギャンブルやブランドものバッグの本人が痛い目にあったら、情報提供した人は少しスカっとするのかもしれませんけど。
でも、生活保護を利用できる人が利用していないという情報を提供した結果、その人が生活保護を利用して安定した地域生活を営めるようになれば、本人も周囲も幸せになれます。
漏給情報を、せっせと垂れ込んでさしあげましょう。

あ、そうそう。
不正受給率を件数ベースで計算してはいけませんぜ。特に悪質な事例では、同じ人が何回も繰り返していることが多いです。それから不正受給と扱うべきではないケースが、「不正受給1件」とカウントされてたりするかもしれない。金額ベースで計算すると、約0.6%。過去数十年の傾向とも全国平均とも同程度かな? という感じです。

24年度に福岡市が不正受給と認定し、返還を求めたのは1521件(4億5900万円)に上った。受給総数3万1154件(784億円)の5%弱にあたる。

「不正受給が多い」という印象を与えたいので、そういう計算をして掲載したのかもしれません。でも、不正とはいわないまでも、不適切な計算だと思います。