エントリ
激ウツからの脱出の記録」 
が好評なようです。読んで下さった皆様に感謝です。

でも、精神の健康状態が極めて危機的な「激ウツ」などの状態には、 
最初から陥らない方がいいんです。
予防するためにどうすればよいか、何ができるかをまとめてみました。

●「生きものの基本」を、ふだんから充実させておく

いわゆる「メシ・フロ・ネル」です。
優先順位は、睡眠>食事>入浴 といったところですが、
これらは相互に関連しています。
睡眠を取るためにも身体を「気持ちよい」状態に。
そのためには入浴を。
なるべく健康的な食生活を。

●向精神薬で解決できると考えない

向精神薬は、適量を適切なタイミングで使用すれば、
非常に心強い武器となりますが、
あくまで「自分自身」にしか効きません。
自分の外に、精神状態を悪化させる原因があるとき、
自分の環境が劣悪すぎるときには、
その原因や環境に働きかけるしかないのです。

●向精神薬は適量を適切なタイミングで使用する

「言うは易く行うは難し」の最右翼です。
これを可能にするためには、
薬の服薬量・タイミングなどについて、
自分が主体的に決定できる立場になくてはなりません。
これは病院選び・医師選びとも関連します。


●「ドクターショッピング」はいくらでも

「近いから」「通いやすいから」「医師が著名人だから」
というような理由で、精神科の通院先を選択しないようにしましょう。
特に病気のときに通院先を変更するのは非常に大変なのですが、
信頼できると思える通院先や医師に出会えるまで、
ドクターショッピングは存分にすべきです。
(私は、やらなさすぎました。
 これまで通院した精神科は3箇所です)

●できれば、ソーシャルワークに力を入れている病院に

精神疾患の治療は、その人が社会でどう生きるかと不可分です。
ソーシャルワークに注力している病院の中から、
信頼できる通院先を見つけられたらベストです。
体制の充実度の目安は、
「入院施設を持たないクリニックで、常勤のソーシャルワーカーが少なくとも2人いる」
です。
体制が充実していても、
「信頼できないなあ」「嫌な感じだなあ」と思ったら、
そこは、あなたには適していないと考えてよいのです。



●自分「だけ」では治れない

起こっているのは自分自身の精神症状であるとしても、
背景にはさまざまな要因があり、それらは多様に絡み合っていることも多いのが、
精神疾患との付き合いの難しさです。
ゆめゆめ、
「自分が薬を飲んで、医者のいうことを聞いていれば済む話」
と考えないようにと心がけています。
一人で悩んでも、思考は「堂々巡り」から出て行かないものです。
私は深刻な状況にあればあるほど、
数多くの人々、
特に、自分の煮詰まった状況の外にある人々に、
積極的に助けを求めるようにしています。

●あくまでも自分が主体

自分は、
自分の精神衛生の維持・向上という大プロジェクトの
プロジェクトリーダーです。 
自分が主体であることを認めない人に対しては、
アサーション・上手な断り方・場合によっては関係を断ち切るなど、
相手が必ずしも望まない対応をしてもよいのです。

●プロジェクトを分割して推進する

ときどき、
「自分の精神衛生の維持・向上」
というプロジェクトの内容を、細分してみます。
できれば、SWOT分析もしてみます。

-日常生活の維持・充実(自分・家族・ご近所さんなど)
-職業生活の維持・充実(職場の関係者・労組(独立系労組を含む)など)
-援助の専門家(カウンセラーなど)
-精神疾患の専門家(精神科医・精神医療関係者など)
-身体疾患の専門家 (医師・医療関係者など)
-経済問題の専門家(税理士・FPなど)
-紛争解決の専門家(法律家など)

……まだまだありそうです。



●イヤなこと、苦痛なことは減らす

好きなこと・楽しいことを増やすのは、
精神状態が良好でないときには避けたほうがいいです。
そもそも、そんなことが出来る状態でもないでしょう。
でも、「イヤなことを減らす」「苦痛を減らす」は、
むしろやりどきです。 
「苦痛を減らす」
には、
「長期放置しておいた気になる虫歯を治す」
「苦痛になっているSNSの『知り合い』を整理する」
といったことも含まれます。 

●「メンヘラーのワガママ」という批判に対しては?

以上、「メンヘラーのワガママ」という批判も、当然ありうるとは思います。
でも世界的に、精神障害や精神疾患は、
個人モデルから社会モデルへと移行しつつあります。
予防と治療は同じことです。
予防が難しい社会で治療しても意味がないんです。

私は、私の周辺の部分社会を、
精神疾患の悪化の予防ができて、
悪化した場合には治療的な環境となるように
心がけています。
その部分社会には、自分も含まれています。

こういう考え方で対処していくようになってから、
私は精神疾患と、過去よりもずっとラクに
問題少なく折り合えるようになりました。