●2014年2月14日(シカゴ時間)
日本は大雪で大変なことになっているようですね。確かシカゴは大寒波に襲われていたはずなのですが、私の滞在中は寒冷も雪も大したことなく済みそうです。除雪されてない場所がところどころにあり、ちょっとくらいは困るかな? 程度。
・昨晩のAAAS年会開会イベントにて
概ね1時間ほどの開会イベントで、AAAS(米国科学振興協会)のpresident(前・現・次期)、今回の年会開催に関係した方々によるスピーチ+プレゼンテーションが行われたのですが、シカゴ市長 Rahm Emanuel 氏によるスピーチが特に印象的かつ感動的だったので、そのスピーチの内容について書いておきます。
アメリカのすべての地域と同様、シカゴでも格差の拡大・貧困問題は深刻です。特に深刻なのは、マイノリティの子どもたちが充分な教育を受けられないことです。また、後期中等教育から職業生活への接続にも必ずしも成功していません。高校中退が多く見られ、中退しないまでも安定した職業生活の入り口に立つことのできない子どもたちが多いわけです。まるで極東のどこかの国そっくりの話です。
数多くの大学、数多くの有力企業が集まるシカゴ市では、大学と高校の連携を強めたり、高校生に対して企業でのインターンシップの機会を提供するなどの取り組みを続けてきました。来春(?)からは、すべての高校でコンピュータ・プログラミング教育を開始するそうです。それが21世紀を生きるのに必要なスキルだから。極東のどこかの国みたいに「生活保護世帯など低所得世帯の子どもは介護方面へ」といった話にはならず、フェアスタートが目指されているわけです。
もちろん、前期青年期になってから教育に力を入れるのもいいんですが、幼児期こそ重要です。Emanuel 氏は2010年にシカゴ市長になり、その年(だったかな)に、シカゴ市の4万人の該当年齢の幼児全員が幼稚園で教育を受けられるようにしたということです。
地元の科学愛好家・研究者などが数多く参加していたと思われるこの開会イベント、Emanuel 氏のスピーチに関する反応は非常に良かったです。「ああ、政治家が支持されるというのはこういうことなんだなあ」と思いました。氏が問題の一つ一つについて、具体的にどう取り組んだか、どういう達成がいつ得られたかを語るたびに、会場の雰囲気が暖かくなり、小さな拍手が起こるのです。そして最後、「4万人の幼児全員が幼稚園に」のくだりで、会場からは大きな拍手が湧き上がりました。
私はEmanuel氏について全然知りません。おそらくは選挙戦を、教育問題・貧困問題を掲げて戦ったのでしょう。そして公約の一つ一つを、地道に、確実に、実行してきたのでしょう。だから支持され、こういう場でスピーチすると大拍手になるのでしょう。
演説が大拍手を浴びる政治家は、日本にだっています。でも、支持のされかたも支持の内容も全然違うと思うのです。さまざまな問題はあっても、米国は成熟した市民社会であり、自分たちの問題を自分たちでなんとかしなくては、という気概をまだ持っているように思われます。対して、極東のどこかの国では……と溜息の漏れる思いでした。住民の意識も、住民がどのように・どのような政治家を選ぶかも、選ばれる政治家も、その政治家が何をするかも、何もかも違いすぎます。日本の社会が市民社会になることはあるのでしょうか。あってほしいと強く望みます。しかし舛添要一氏が都知事の東京都に暮らす障害者である私には、市民社会を望む以前に望まなくてはならないことがたくさんあります。自分の生存であったり、職業生活を可能にするレベルの日常生活であったり。私は、自分が(健常男性同様の意味で社会的存在として)生きていける日本・自分が(同前)生きていける東京・(同前)生きていける杉並区を望みますが、絶望的な気分になっています。
・閑話休題
今回のAAAS年会の会場となっている3つのホテルのあちこちに、こういう感じで、生フルーツ入りのミネラルウォーターが置いてあります。これはラズベリーとブルーベリー。ゴージャスです。

しかしながら、街に出れば路上生活者や物乞いが多数。街を歩いていて上を見上げれば「子どもの5人に1人が飢えに直面しています」というポスターが。
米国という国は、まったく一面的な理解を拒む国だと思います。確かに、大きな格差と深刻な貧困問題は米国の一面ではあります。でも、日本にいて、そういう記事や書籍ばかりに接していると、米国を理解することはまったくできないのではないでしょうか。
・午前
6:40ごろ起床。ユースホステルで朝食(ベーグル、チーズ、オレンジジュース、コーヒー)を食べて部屋に戻ると、同行のY氏から「さっき起きた」とメッセージがありました。身支度し、1Fで落ちあい、AAAS年会会場へ。
プレスルームにて、毎年のAAAS年会参加の「主目的」といってもよいイベントである障害者支援プロジェクトのミーティングの準備。AAAS年会やAAASの取り組みについて書いた記事のコピー、日本の障害者をめぐる状況に関するレポートなどを用意。9:40ごろ準備終了。泥縄、です。
この猫型クリップ、たいへん好評でした。

あたふたとミーティング会場へ。ミーティングは10:00から開始。用意した資料は関心を持って見ていただけました。記事の掲載誌と「生活保護リアル」をプロジェクトのリーダーに差し上げると大変喜んでもらえました。「生活保護リアル」の「はじめに」には、Virginia Stern さん(もとAAAS)に対する謝辞が書いてあります。1990年、米国でADA(アメリカ障害者法)が制定されたのですが、AAASはADAが制定される流れを作るのに大変力あった団体の一つでもあるのです。そのための運動を推し進めてきた一人が Virginia Stern さんです。退職されて数年が経過し、もうAAAS年会には参加されなくなって長いのですが、Sternさんとの出会いが私をどれだけ力づけたことか。もし、2011年のAAAS年会でのSternさんとの出会いがなかったら、私はたぶん「生活保護リアル」を書いていません。
・昼食
ミーティング終了後、展示会場へ。ジャパンブースをちょっと覗いて、別行動(セッション聴講・別の会議参加など)していたY氏と落ち合う。Y氏が「麺類食べたい」というので、Google先生に近隣のヌードルショップを尋ね、そこに行って
みました。
麺類は東南アジア風・日本風・中央ヨーロッパ風などのバリエーションがあり(smallサイズ、各5ドル程度)、それに肉(ビーフ・ポーク)・エビをトッピングするシステム。私は「日本風焼きそば」を自称するものを選んでエビをトッピングしたところ、10ドル程度になりました。エビが高いのです。
麺は、腰のないウドン風の麺。小麦粉だけではなくコーンかポテトのスターチが入ってるのでは? というほど腰がありません。椎茸・ニンジン(ぶっとい千切り)・ブロッコリーが入っています。味付けは、タイ料理的にスパイシーな醤油ベースのちょっと甘いソース。上には焼いたエビ(小型のレッドタイガーか)が8尾ほど、ちんまりと散らされています。さらに生のモヤシがトッピングされています。なんとも形容しがたい食べ物でした。さらに量が多いのです。2/3ほど食べたところで、ギブアップ。うーっぷ。
Yさんは、パッタイを食べていました。トッピングはビーフ。そちらは大変美味そうでした。ううううう。
・午後
プレスルームで雑誌記事(来週発売だったかな)の校正。2ページに30ヶ所くらいの修正という、けっこう大変なお仕事。
その後はプレス向けティーパーティーに参加。


2時間ほど続くパーティーなのですが、40分ほどで切り上げてプレスルームに。カメラの電池が切れてしまったので、充電です。
今日まで、セッションは一つも聴講していません。午後、一つくらいは聴講&取材したかったのですが、カメラ使えないのでは取材に支障があるし、充電を行っている横を離れたくないので、結局プレスルームに籠もり、明日以後(まだ3日ある)の聴講などの行動計画を練るのでありました。
・夜
プレス向けパーティーに参加の予定。宿に帰ったらバタンキューと思われます。あ、昨晩はバテててシャワー浴びなかったから、今日は浴びなくちゃ。
日本は大雪で大変なことになっているようですね。確かシカゴは大寒波に襲われていたはずなのですが、私の滞在中は寒冷も雪も大したことなく済みそうです。除雪されてない場所がところどころにあり、ちょっとくらいは困るかな? 程度。
・昨晩のAAAS年会開会イベントにて
概ね1時間ほどの開会イベントで、AAAS(米国科学振興協会)のpresident(前・現・次期)、今回の年会開催に関係した方々によるスピーチ+プレゼンテーションが行われたのですが、シカゴ市長 Rahm Emanuel 氏によるスピーチが特に印象的かつ感動的だったので、そのスピーチの内容について書いておきます。
アメリカのすべての地域と同様、シカゴでも格差の拡大・貧困問題は深刻です。特に深刻なのは、マイノリティの子どもたちが充分な教育を受けられないことです。また、後期中等教育から職業生活への接続にも必ずしも成功していません。高校中退が多く見られ、中退しないまでも安定した職業生活の入り口に立つことのできない子どもたちが多いわけです。まるで極東のどこかの国そっくりの話です。
数多くの大学、数多くの有力企業が集まるシカゴ市では、大学と高校の連携を強めたり、高校生に対して企業でのインターンシップの機会を提供するなどの取り組みを続けてきました。来春(?)からは、すべての高校でコンピュータ・プログラミング教育を開始するそうです。それが21世紀を生きるのに必要なスキルだから。極東のどこかの国みたいに「生活保護世帯など低所得世帯の子どもは介護方面へ」といった話にはならず、フェアスタートが目指されているわけです。
もちろん、前期青年期になってから教育に力を入れるのもいいんですが、幼児期こそ重要です。Emanuel 氏は2010年にシカゴ市長になり、その年(だったかな)に、シカゴ市の4万人の該当年齢の幼児全員が幼稚園で教育を受けられるようにしたということです。
地元の科学愛好家・研究者などが数多く参加していたと思われるこの開会イベント、Emanuel 氏のスピーチに関する反応は非常に良かったです。「ああ、政治家が支持されるというのはこういうことなんだなあ」と思いました。氏が問題の一つ一つについて、具体的にどう取り組んだか、どういう達成がいつ得られたかを語るたびに、会場の雰囲気が暖かくなり、小さな拍手が起こるのです。そして最後、「4万人の幼児全員が幼稚園に」のくだりで、会場からは大きな拍手が湧き上がりました。
私はEmanuel氏について全然知りません。おそらくは選挙戦を、教育問題・貧困問題を掲げて戦ったのでしょう。そして公約の一つ一つを、地道に、確実に、実行してきたのでしょう。だから支持され、こういう場でスピーチすると大拍手になるのでしょう。
演説が大拍手を浴びる政治家は、日本にだっています。でも、支持のされかたも支持の内容も全然違うと思うのです。さまざまな問題はあっても、米国は成熟した市民社会であり、自分たちの問題を自分たちでなんとかしなくては、という気概をまだ持っているように思われます。対して、極東のどこかの国では……と溜息の漏れる思いでした。住民の意識も、住民がどのように・どのような政治家を選ぶかも、選ばれる政治家も、その政治家が何をするかも、何もかも違いすぎます。日本の社会が市民社会になることはあるのでしょうか。あってほしいと強く望みます。しかし舛添要一氏が都知事の東京都に暮らす障害者である私には、市民社会を望む以前に望まなくてはならないことがたくさんあります。自分の生存であったり、職業生活を可能にするレベルの日常生活であったり。私は、自分が(健常男性同様の意味で社会的存在として)生きていける日本・自分が(同前)生きていける東京・(同前)生きていける杉並区を望みますが、絶望的な気分になっています。
・閑話休題
今回のAAAS年会の会場となっている3つのホテルのあちこちに、こういう感じで、生フルーツ入りのミネラルウォーターが置いてあります。これはラズベリーとブルーベリー。ゴージャスです。

しかしながら、街に出れば路上生活者や物乞いが多数。街を歩いていて上を見上げれば「子どもの5人に1人が飢えに直面しています」というポスターが。
米国という国は、まったく一面的な理解を拒む国だと思います。確かに、大きな格差と深刻な貧困問題は米国の一面ではあります。でも、日本にいて、そういう記事や書籍ばかりに接していると、米国を理解することはまったくできないのではないでしょうか。
・午前
6:40ごろ起床。ユースホステルで朝食(ベーグル、チーズ、オレンジジュース、コーヒー)を食べて部屋に戻ると、同行のY氏から「さっき起きた」とメッセージがありました。身支度し、1Fで落ちあい、AAAS年会会場へ。
プレスルームにて、毎年のAAAS年会参加の「主目的」といってもよいイベントである障害者支援プロジェクトのミーティングの準備。AAAS年会やAAASの取り組みについて書いた記事のコピー、日本の障害者をめぐる状況に関するレポートなどを用意。9:40ごろ準備終了。泥縄、です。
この猫型クリップ、たいへん好評でした。

あたふたとミーティング会場へ。ミーティングは10:00から開始。用意した資料は関心を持って見ていただけました。記事の掲載誌と「生活保護リアル」をプロジェクトのリーダーに差し上げると大変喜んでもらえました。「生活保護リアル」の「はじめに」には、Virginia Stern さん(もとAAAS)に対する謝辞が書いてあります。1990年、米国でADA(アメリカ障害者法)が制定されたのですが、AAASはADAが制定される流れを作るのに大変力あった団体の一つでもあるのです。そのための運動を推し進めてきた一人が Virginia Stern さんです。退職されて数年が経過し、もうAAAS年会には参加されなくなって長いのですが、Sternさんとの出会いが私をどれだけ力づけたことか。もし、2011年のAAAS年会でのSternさんとの出会いがなかったら、私はたぶん「生活保護リアル」を書いていません。
・昼食
ミーティング終了後、展示会場へ。ジャパンブースをちょっと覗いて、別行動(セッション聴講・別の会議参加など)していたY氏と落ち合う。Y氏が「麺類食べたい」というので、Google先生に近隣のヌードルショップを尋ね、そこに行って

みました。
麺類は東南アジア風・日本風・中央ヨーロッパ風などのバリエーションがあり(smallサイズ、各5ドル程度)、それに肉(ビーフ・ポーク)・エビをトッピングするシステム。私は「日本風焼きそば」を自称するものを選んでエビをトッピングしたところ、10ドル程度になりました。エビが高いのです。
麺は、腰のないウドン風の麺。小麦粉だけではなくコーンかポテトのスターチが入ってるのでは? というほど腰がありません。椎茸・ニンジン(ぶっとい千切り)・ブロッコリーが入っています。味付けは、タイ料理的にスパイシーな醤油ベースのちょっと甘いソース。上には焼いたエビ(小型のレッドタイガーか)が8尾ほど、ちんまりと散らされています。さらに生のモヤシがトッピングされています。なんとも形容しがたい食べ物でした。さらに量が多いのです。2/3ほど食べたところで、ギブアップ。うーっぷ。
Yさんは、パッタイを食べていました。トッピングはビーフ。そちらは大変美味そうでした。ううううう。
・午後
プレスルームで雑誌記事(来週発売だったかな)の校正。2ページに30ヶ所くらいの修正という、けっこう大変なお仕事。
その後はプレス向けティーパーティーに参加。


2時間ほど続くパーティーなのですが、40分ほどで切り上げてプレスルームに。カメラの電池が切れてしまったので、充電です。
今日まで、セッションは一つも聴講していません。午後、一つくらいは聴講&取材したかったのですが、カメラ使えないのでは取材に支障があるし、充電を行っている横を離れたくないので、結局プレスルームに籠もり、明日以後(まだ3日ある)の聴講などの行動計画を練るのでありました。
・夜
プレス向けパーティーに参加の予定。宿に帰ったらバタンキューと思われます。あ、昨晩はバテててシャワー浴びなかったから、今日は浴びなくちゃ。