7月から始まった「Go To トラベル」、その後始まった「Go To イート」に乗れずにいます。

 まず「Go To イート」については、もともとグルメ食べ歩き系の趣味がないのです。美味しいものは素敵だし、食べたいと思います。しかし、そのために遠くに出かけたいとは思いません。「たまたま、その地域に用事があったら、ついでに」で充分。近場で使えばいいんですが、行きたくて「Go To イート」の対象になるお店が、近隣にないのです。

 コロナ禍と4月から5月にかけての「緊急事態宣言」で、飲食店がほとんどテイクアウトのみ営業だった時期、ほとんど外食せずにいました。できないから。
 緊急事態宣言が解除されてみると、私にとっての外食は「そこまでして、する?」というものになっていました。お店にくる他のお客さんは選べません。「障害者のくせに」という態度を示されるかもしれない。障害をあてこすられるかもしれない。
 そもそも、行ったことのないお店の新規開拓をしてみようという気は、とっくの昔に萎えています。店主さんが障害者差別をしない人であるかどうか、入ってみないとわかりません。その一か八かのカケに出てみる意欲がなくなったのです。少なくとも、日本では。
 緊急事態宣言は私に、かりそめの「障害者と他の者との平等(国連障害者権利条約)」をもたらしてくれました。飲食店の多くは、障害があろうがなかろうが入れない場所になっていました。しかし、緊急事態宣言が解除されてみると、「ちょっとやそっとのリスクがあっても、時には外食してみる」という習慣が、意欲ごと消滅していました。いったん失った習慣を取り戻すのは大変です。
 それでも、「ときには、そのお店とお味を味わいたい」という感情は残っています。特に、わが地元の西荻窪は、個性的で体力はない小規模飲食店が多い地域です。行って飲食することが最大の支援です。多くの場合、私が時には行くお店には「Go To イート」に参加する体力の余裕がありません。もし参加していても、「お店により効率よい日銭を」と思ったら「Go To イート」は使わずに飲食することを選ぶでしょうね。

 「Go To トラベル」に乗れない最大の理由は、ウツ気分です。いわゆる「コロナ鬱」に加え、貧困に関する取材報道を行っていることから、深刻なウツ状態がずっと続いています。そんなにメンタルが強いわけではないので、「自分のメンタルが持ちこたえられる範囲での取材や情報収集にとどめて、細く長く書き続けるのが最良の選択だろう」と思います。しかしそれでも、現実そのものが充分に残酷です。さらに、直接支援に一切タッチしていない罪悪感もあります。

 素敵なホテル、素敵なリゾートは、そりゃあ「素敵だなあ」と思いますよ。「Go To トラベル」を利用して旅行を楽しまれた方々のSNS投稿を見ていると、私も「行ってみたいなあ」と思います。ところが、旅行サイトを見ていると、1分か2分で涙がボロボロ出てきてしまうのです。「ウツの時に旅行や気分転換はよくない」というセオリーそのまんまです。出張ならできるのですが、それは「仕事モードだから出来る」というだけの話。

 ま、せっかく東京に住んでいるんです。ときどき、各県のアンテナショップで各地の美味しいものを買って味わえば、私には充分です。見出し画像は、沖縄の泡盛ゼリーです。