北米や西欧で、費用を圧縮しつつ出張するときの強い味方は、その土地の移民コミュニティのカフェやレストランです。概して「安い・旨い・気取らない」。ときには「早い」もついてきます。

 2012年2月、バンクーバーで学会に参加したときは、宿のすぐそばにあったレバノン料理カフェにお世話になりました。なにしろ、スパイシーなピラフ・たっぷりの量の生野菜サラダ・ひよこ豆のコロッケ(ファラフェル)や肉のグリルのセットで、日本円で1000円以下だったり1200円程度だったり。それをテイクアウトし、自炊のおかずや惣菜を足して2~3食分にして食べてました。
 肉やファラフェルや生野菜の上にタラーリとかけてあった白いソースが、その後も気になり続けていました。いつか、あれを白ごはんとチリメンジャコにかけて食べたい。

 8年後の2020年8月。偶然から、レバノンで一般的な「toum」というソースであったことが判明。
 本場の味そのものっぽいこちらのレシピを参考に、ウチの事情に合わせて、ウチにある道具で作ってみました。

材料
  • ニンニク 1個 (バラバラにして薄皮を剥いておく)
  • 植物油(今回はエキストラバージンオリーブオイルと菜種油を半々で使用) たぶん合計100ccくらい
  • レモン汁 たぶん合計20ccくらい
  • 塩(ふつうの精製塩)たぶん5gくらい(保存性を高めるために多めに)

道具
ハンドミキサーに「潰す」モードのアタッチメントを装着(1997年モデルのバーミックス+ミンサー)

参考にしたレシピには「通常のブレンダー(ミキサー)はおすすめしない」とありましたが、ちゃんと出来ました。
要は使い方。
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プロセス
  1. ニンニク1片を2~3切れに切り、塩をまぶし、少し水分が滲み出てくるまで待つ
  2. ハンドミキサーの低速で、上からネチョネチョという感じで潰していく。概ね潰れたら高速に切り替え、さらにネチョネチョさせ、ニンニクの塊をなくす
  3. 植物油をスプーン1杯加えてはハンドミキサーでよく混ぜて乳化を促す。これを5回くらい繰り返す。
  4. 植物油を20cc加えてハンドミキサーで混ぜ、レモンジュースをスプーン1杯加えてハンドミキサーで混ぜることを、5回くらい繰り返す。
  5. マヨネーズを固くしたようなペーストの状態で保存容器に移して冷蔵庫に入れる。いくつかのレシピを見たところ、油や酢の配合が結構まちまち。塩分濃度が相対的に高く保存性が高い状態にしておき、用途に従って適宜のばして調味できるように、と考えた。

お味は?

レンチンしたアスパラガス、焼いて冷蔵しておいたナスに添えて。んまい。
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白ごはんにカエリジャコをのせて、このソースとともに。
バンクーバーでの「日本に帰ったら」という夢が、8年後に叶いました。
うまい。
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南インド料理の名店・西荻窪「大岩食堂」風の半熟卵アチャールを、我が家風にテキトーにアレンジしたものに添えて。
うまい。
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こんな昼ごはんでした。
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食べてみて
  • 豆腐もアスパラガスも何もかも、このソースを少しだけ塗ったり混ぜたりして食べると、その食材の味が引き立つ感じです。「ニンニクにはこういう能力があるのか」という感じ。
  • このソースを生野菜をテキトーに切ったものにまぶし、冷蔵庫に1晩寝かせておくと、漬け汁と漬かった野菜が出来、それぞれスープのベースと生野菜として美味しく食べられます。作った容器に相当量こびりついているソースがもったいないのでトマトを切ってソースを絡ませて一夜漬けしてみたわけですが、保存性のために塩分量を多めにしておいたことが「謎中東風一夜漬け」への応用につながりました。

反省点
  • 作っていると、強烈にニンニクの臭いが立ちます。柚子胡椒を作っている時と良い勝負です。翌日になっても、外から帰ってくると家の中がニンニク臭いです。
  • どうも本場でも、ニンニク臭さは悩みの種らしいです。「ニンニクの皮を剥いて切ったら、氷水にしばらく漬けて冷やしておく」といったノウハウが、レシピに臭い対策として書かれていたりします。

補足
 本場風のレシピ複数に、「ブレンダー(ミキサー)はオススメしない」とあります。
 では何を使っているのかというと、乳鉢と乳棒(mortar and pestor)の電動版なんです。

日本のAmazonには、そもそも取り扱いがないようです。電動ではないものならあります。

 結論からいうと、ハンドミキサーで作れました。
 通常のフードプロセッサやミキサーでも、ニンニクがカットされず潰されるようにノウハウを工夫すれば、なんとかなるのかも。