ちょうど1年前の2013年5月24日、大阪・天満で28歳のお母さんと3歳の息子さんが遺体で発見されました。
当初は「生活保護を受給できなかったために餓死に至った」という見方がなされていました。大阪府下のある市で生活保護の相談をしていたけれども申請には至らなかった、という事情もあったようです。しかしその後、「収入はあったはず」とする報道も行われ、何がどうなったのでお二人が亡くなったのかは明らかにされていないままです。

発声練習:[メモ] 大阪母子「餓死」報道メモ
池田光穂さん授業記録:大阪天満母子死亡事件2013年5月24日
Togetter:大阪市北区天満母子変死事件

いずれにしても、このお母さんと息子さんが何らかの困窮状態にあったのは間違いないかと思われます。 

さて。
2013年4月、我が家は新しい猫の家族を迎えていました。もうすぐ5歳になる「リュウ」です。
虐待に遭っていたリュウは、アニマルシェルターに保護されていましたが、ご縁あって我が家の次男猫になってくれました。

参考 みわちゃん・いんふぉ:家族記念日 

この事件が報道されたころ、リュウは我が家の中の探検も一段落し、11歳上の次女猫・摩耶(参考)と仲良く楽しそうに過ごしていました。
当初、リュウには我が家で新しく名前をつけるつもりでした。第一候補は「歓(かん)」でした。しかしヘルパーさんたちに「リュウちゃん」で馴染んでしまったこと、5歳で名前を変えられるのは本猫にとってストレスではないかと思われたことから、 「リュウ」のままにすることにしました。そして、せめて漢字だけつけさせてもらおうと考えていました。
その時に、この事件が報道されました。

私は、このお母さんと息子さんに何もできませんでした。当たり前です。遠い大阪の知らない場所に住んでおられた、全く接点のない、事件まで知ることもない方でしたから。しかし、もしも西荻窪駅前など自分の生活圏であっても、大して変わらなかったでしょう。私に人づてにでも接触してくださって「生活保護の申請を手伝ってほしい」と言われたら、少しくらいは力になれたかもしれませんが、もし、そういう相談をできる相手が一人でもいれば、こんな悲劇的な結果にはなっていなかったでしょうし。
小さな一個人、小さな一個人の集まりである地域コミュニティに出来ることは非常に小さく、人一人・一家族を支えることなど最初から無理なのだと私は思っています。制度による下支えは絶対に不可欠ではないでしょうか。でも、生活保護制度をめぐるここ数年の動きを振り返ると、溜息が出るばかりです。

せめて、この事件のこと、この幸薄かった息子さんのことを忘れないでいようと考えた私は、息子さん・瑠海(るい)君のお名前から、一文字を我が家のリュウに頂戴することにしました。
そしてリュウは「瑠」となったのでした。

これからも、5月24日が来るたびに、私はこの事件のことを思い出すでしょう(スケジューラに仕込んであります)。
末尾になりましたが、お母さんの井上充代さん・息子さんの瑠海君のご冥福を、心より祈ります。