ショックを吸収するホイールが開発され、車椅子の乗り心地を劇的に向上させたそうです。

WIRED: 車椅子の乗り心地を変えた「ショックを吸収するホイール」 

たいへん期待出来る製品ですが、なんとも誤解を招きそうだなあと思ったので、現役の車椅子乗り(若干なら手動運転も可能)として一言。

  • 前輪キャスター用には既存製品あり
ホイールの改良という形ではありませんが、「車輪でショック吸収」という発想はかなり前からあり、製品も世に出てきています。
空気の入っている後輪より、前輪キャスターの方が、ショックの影響は大きいのです。
「ふくしチャンネル」に、カヤバ工業の製品「ポルテ」の紹介記事があります。「ポルテ」は、2001年に発売された衝撃吸収キャスターです(カヤバ工業は油圧機器・ショックアブソーバーなどを含む機器の専門メーカーのようです)。

  • このホイールを車椅子に装着したら階段昇降ができるわけではない
このホイールを装着した車椅子で、階段を降りることを含む移動を行う車椅子使用者が出てくる動画です。

現在の通常の手動車椅子にも、同様の階段昇降の技はあります。
車椅子のコントロールがかなり上手な人でないと危険ですけれども。 
この動画に出てくる階段降りは、ごく一般的な、車椅子での階段昇降です。
そもそも車椅子をコントロールできてない人・あるいはコントロールが容易な車椅子を利用していない人が、このホイールがあれば階段昇降できるようになるわけではないのです。
つまり、バリアフリー化・アクセシビリティ向上は、今後も課題でありつづけるということです。
並行して、車椅子を必要とする人に交付される車椅子の内容の向上も必要でしょう。現在の標準品は、コントロールが困難である上に、乗っていれば身体を壊す代物ですから。

誤解が広まったらイヤだなあと思ったので、多忙で死にそうですが、書いておくことにしました。